シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション 〜歴代受賞商品を一挙ご紹介〜
“シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション”は、商品化を前提に今までにないプロダクトデザインを求めるコンペティションです。2018年に10年の年月を経て第11回を再開し、14回目を迎えた今回は、『「 」を表すしるし』をテーマに作品を募り多数のご応募いただきました。
今回は過去の受賞作品から商品化されているものの一部を、開発担当者のエピソードを添えてご紹介します。
INDEX
第12回グランプリ受賞作品「わたしのいろ」
シヤチハタといえば朱色という固定観念を開放し、なおかつ複数の色を配置して捺す人の個性を表現できる、
これまでにない斬新なイメージを実現させたのが、第12回グランプリ受賞作品「わたしのいろ」です。
捺す時の気持ちが表れる美しい印影
「わたしのいろ」は、印面をつける場所や向きによって、捺した時の印影が全て異なる彩りで残る朱肉です。
捺す人や捺す時の気持ち次第で、印影の色合いにさまざまな“いまのわたし”を表現できます。
日本的なテーマで発売した第一弾が大好評となったのを受けて、
第二弾では「時の流れ」を一日の空の色で表現。
時の流れと共に刻々と変化する空の様子を「あかつき」「はくちゅう」「たそがれ」「つきよ」という4つの彩りに仕上げました。
時間が経つとインキが混ざってしまう問題がある中、
「シヤチハタのインキ技術なら、もしかしたらいけるのでは?」と開発担当者は語ります。難しくてもトライする価値は十分にあるという思いで生まれた「わたしのいろ」は、朱肉の概念をガラリと変える革命的な商品として、多くの方に愛用されています。
※手作りのため、配色にはばらつきがあります。
※インキ補充はできません。
※次回販売は現時点では未定です。
第12回審査員特別賞受賞作品「ジャパニーズギフトシヤチハタ」
“これからのしるし”をテーマに新しいプロダクトのデザインを募った第12回SNDCにおいて特別審査員賞を受賞した「ジャパニーズギフトシヤチハタ」を商品化したのが「ネーム9ギフト」です。
記念日の贈り物に最適なギフトケース入り
「ネーム9ギフト」はネーム9に、木目調組箱に熨斗(のし)を巻いた専用ギフトケースが付いた贈答品仕様の商品です。
ネーム9本体のデザインは、日本の四季を連想した「桜花柄」「青海波柄」「紅葉柄」「雪華柄」の4種類。卒業、就職、結婚など大切な人に贈る“名前のギフト”にふさわしい特別な一品となります。
「受賞作品のコンセプトは木箱であったが、どうしてもコスト、長期間保存時の経時安定性の観点から不安があった。そこで、限りなく初期コンセプトを踏襲しつつも、加工性、コスト、経時安定性を兼ね備える材質の検討に苦労した。 実はネーム印はホルダー部にごくわずかにテーパーがかかっている。360°装飾を施した後に、つなぎ目の部分に違和感がないように細部へのデザインにこだわった。」開発者は細かなこだわりについても語っています。
ギフト柄のネーム9は単品でも購入が可能です。印面の書体やインキ色なども自由に選べますので、細かな部分まで贈る側の気持ちがこもった1本に仕上げることができます。
尚、ネーム9ギフトケースは「2021 日本パッケージングコンテスト」にてパッケージデザイン賞を受賞しています。
第11回グランプリ受賞作品「myQR」
スタンプの印影がそのままQRコードとなり、スマホにかざせばサイトにつながる新発想。
デジタルとアナログの融合を見事に果たしたアイテムが、第11回グランプリ受賞作品を商品化した「myQR」です。
名刺や履歴書などにも一歩進んだ自己紹介を
「myQR」で捺印できるのは、苗字が入ったQRコードです。
名刺や履歴書など自己PRに使う紙面にスタンプすれば、
そのQRコードを通して紙には書けない動画や写真なども相手に伝えることができます。
書体や文字数、インキの色も自由にオーダー可能。
スタンプで表現できる自己紹介の新しいカタチとなります。
「コンセプトモデルは右利きを想定して設計されており、かつ量産が非常に難しい形状をしていたことから、商品化にあたっては左利きでも使えて量産もできる形状にすることが課題だった」と話す開発担当者。
社内アンケートを繰り返しながら試作を重ねた末の完成品は、誰にとっても持ちやすくて使いやすい1本に仕上がっています。
第11回審査員特別賞「筆印」
ネーム印とペンがひとつになった「ネームペン」があるのなら、
スタンプと筆ペンがひとつになった商品があってもいいのでは・・・
「当たり前すぎて逆に思いつかない、盲点を突いた」という評価を受けた、
第11回の審査員特別賞受賞作品「筆印(FUDE-IN)」です。
オリジナルの落款印をメールオーダーで
落款印と本格派の毛筆ペンがセットになった「筆印(FUDE-IN)」は、
絵はがきやスケッチ用、金封・のし紙の表書き、インクジェット紙などに幅広くご使用いただけます。
メールオーダー式なら、スタンプの印面はお好きな文字、書体、インキ色を選択できます。筆ペンと一緒に、スタンプ台が要らないオリジナルの落款印を持てるのがいいですね。
「元のデザインコンセプトを壊さず、機能との妥協点を見出すことにこだわった」と話す開発担当者。ペン先が乾燥しない気密性を保つために、筆ペンの蓋先から中央の持ち手、反対側のスタンプ印面部まで『四角~円形~四角』となめらかに形状を変えていく工夫が取られています。
筆ペンも筆先の性能にこだわって作られていますので、その書き味をぜひ味わってみてください。
第8回グランプリ受賞作品「セキュアスタンパー」
住所や名前などを隠す作業がスタンプでできれば、大きな手間の軽減になります。
個人情報保護に効率化の要素をプラスしたこのアイデアを、特殊インキの開発によって商品化したのが、
第8回のグランプリ受賞作品「セキュアスタンパー」です。
“しっかり隠す”ための新しい技術
ハガキや封筒等の個人情報を見えにくくする「セキュアスタンパー」。
シュレッダーを使わずスタンプだけで簡単に個人情報を隠し、外部への流出を防ぐことができます。
商品化にあたっては、文字をしっかり隠せるインキの新規開発が必要でした。
実験をしたところ、シヤチハタの既存インキでは時間が経つとインキがわずかに紙に浸透していき、
結果として隠ぺい力も落ちてしまうことがわかったからです。
「インキを改良したところ、今度は印面からインキがうまく出てこない別の問題が起きてしまった。
そこで印面のゴムスポンジもあわせて改良することで、現在の性能を出すことができた」と、
開発担当者は当時の苦労を振り返ります。
消えにくいコピーの文字もしっかり隠す「セキュアスタンパー」を、オフィスの個人情報対策にぜひお役立てください。
※この商品は完全なデータの抹消、隠ぺいをするものではありません。データの流出などにより被害が生じた場合でも、当社ではその責任を一切負うことができませんのであらかじめご了承ください。
作品の数々から感じる「思いやこだわり」
今回は“シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション”過去の受賞作品から、実際に商品化されたものの一部をご紹介いたしました。
どの作品も、実物を見てみたい、手に取ってみたい、使ってみたいと思うものばかり。面白さ、実用性、独創性・・・いろんなアプローチからの思いやこだわりを感じ、使う人、目にする人の感情を豊かにしてくれる魅力も伝わってきます。
14回目の受賞作品からも、皆さんの日常に役立つアイテムとなるものが出てくるかもしれません。ぜひ楽しみにしてください。
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